バナナなどのフルーツにヨーグルトとはちみつをかけて食べるのが日課になっています。
スーパーには様々な種類のはちみつが並んでいますが、値段も産地もバラバラで、何を基準に選べばよいか迷う方も多いのではないでしょうか。国産と中国産では価格が大きく異なりますし、同じ国産でも値段に開きがあります。
今回は、本物のはちみつの選び方について詳しくまとめました。せっかくはちみつを買うなら、栄養価が高く、本来の風味を楽しめる純粋はちみつを選びたいものです。
はちみつの種類
はちみつは大きく 3 種類に分けられます。それぞれの特徴を理解しておくと、購入時に役立ちます。
純粋はちみつ(生はちみつ)
ミツバチが集めた蜜をそのまま、または最低限の処理(ろ過など)のみで瓶詰めしたはちみつです。人工的な添加物や糖類を加えていないため、はちみつ本来の栄養素や酵素が生きています。
純粋はちみつには以下の特徴があります。
- ミツバチが花から集めた蜜そのもの。
- ビタミン、ミネラル、酵素、アミノ酸などが豊富。
- 天然の抗菌力がある。
- 適切に保存すれば非常に長期間品質を保てる。
- 花の種類によって色や風味が異なる。
日本では「全国はちみつ公正取引協」の規約により、「純粋」「天然」「生」「ピュア」「ナチュラル」などの表示は「純粋」または「Pure」に統一されています。購入するなら、この純粋はちみつがおすすめです。
加糖はちみつ
はちみつに水飴、異性化液糖、砂糖などの甘味料を加えた製品です。コストを抑えるために作られており、価格は純粋はちみつより安くなっています。
加糖はちみつには以下の特徴があります。
- 原材料表示に「水飴」「異性化液糖」「砂糖」などの記載がある。
- はちみつ本来の栄養価は薄められている。
- 風味も純粋はちみつに比べると劣る。
- 価格が安い。
2019 年の規約改正により、加糖はちみつは「はちみつ類」の定義から外されました。消費者向けの製品としてはあまり流通しなくなりました。安価なはちみつでは今でも糖類が添加されている場合があるので注意してください。
精製はちみつ
はちみつを加熱処理して色や香り、栄養成分を取り除いたものです。無色透明かつ無味無臭に近い甘味料となっています。
精製はちみつには以下の特徴があります。
- 加熱により酵素や栄養素が失われている。
- 色や香りがほとんどない。
- 甘味料としての役割のみ。
- 主に加工食品や化粧品の原料として使用される。
- 一般消費者向けにはあまり販売されていない。
精製はちみつは一般的なスーパーで見かけることは少ないものの、加工食品の原材料として使われていることがあります。
純粋はちみつの中での違い
純粋はちみつと表示されていても、その品質には幅があります。
非加熱はちみつと加熱処理されたはちみつ
純粋はちみつの中でも、加熱処理の有無で品質が大きく変わります。
非加熱はちみつ(生はちみつ)は、ミツバチが巣の中で水分を飛ばし、完熟した蜜をそのまま採取したものです。酵素や栄養素が生きた状態で保たれています。
- 45 度以上に加熱されていない。
- 酵素活性が維持されている。
- 風味が豊か。
- 価格は高め。
加熱処理されたはちみつは、採取後に加熱処理を施したものです。加熱により結晶化しにくくなり、流通しやすくなる一方で、一部の栄養素や酵素は失われます。
- 殺菌や瓶詰めの効率化のために加熱される。
- 結晶化しにくい。
- 酵素活性は低下している。
- 価格は比較的安め。
「純粋はちみつ」と表示されていても加熱処理されている場合があるため、非加熱にこだわる場合は製品説明をよく確認してください。
蜜源による違い
はちみつは、ミツバチが蜜を集める花の種類によって、色、香り、味、栄養成分が異なります。
代表的な蜜源と特徴を以下の表にまとめました。
| 蜜源 | 色 | 味の特徴 | 結晶化 |
|---|---|---|---|
| レンゲ | 淡い黄色 | まろやかで上品な甘さ | しやすい |
| アカシア | 透明に近い淡黄色 | あっさりしてクセがない | しにくい |
| そば | 濃い茶色から黒 | 独特の風味でミネラル豊富 | しやすい |
| クローバー | 淡い黄色 | 穏やかな甘さ | しやすい |
| みかん | オレンジがかった黄色 | 柑橘系の爽やかな香り | しにくい |
| マヌカ | 茶褐色 | 独特のコクと薬草的な風味 | しやすい |
| 百花蜜 | 季節や地域で異なる | 複雑で奥深い風味 | 様々 |
単一の花から採取した「単花蜜」と、複数の花から採取した「百花蜜(マルチフローラル)」があります。どちらが良いというわけではなく、好みや用途で選ぶとよいでしょう。
純粋はちみつの見分け方
純粋はちみつを選ぶべきですが、どれが本物か判断できない方も多いでしょう。以下のポイントを参考にしてください。
透明度を確認する
純粋はちみつには花粉などの微粒子が含まれているため、やや濁りのあることが多いです。透明なはちみつでは、精密なろ過や加熱処理により花粉が除去されている可能性があります。
ただし、アカシアはちみつのように元々透明度が高い種類もありますので、透明度だけで判断するのは難しい場合もあります。
結晶化するかどうか
純粋はちみつは、気温が 15 度以下になると白く結晶化します。これはブドウ糖が結晶化する自然な現象で、品質が悪いわけではありません。むしろ、純粋なはちみつである証拠の 1 つです。
結晶化したはちみつは、40 度程度のお湯で湯煎すれば元の液状に戻ります。電子レンジでの加熱は高温になりすぎるため避けてください。
逆に、まったく結晶化しないはちみつでは、加糖や高度な加工が施されている可能性があります。ただし、アカシアはちみつは果糖の含有量が高く、結晶化しにくい特性があります。
香りと味で判断する
純粋はちみつには、蜜源となった花の香りが残っています。開封したときに豊かな香りがするはちみつは、純粋である可能性が高いです。
味わいも重要なポイントです。純粋はちみつは複雑な風味があり、単なる甘さだけでなく、花の風味や微かな酸味を感じることができます。逆に、ただ甘いだけで風味がないはちみつは、加糖や精製されている可能性があります。
商品説明をしっかり読む
「純粋はちみつ」と表示されていても、加熱処理されている場合があります。より質の高いはちみつを選ぶには、以下の点を確認してください。
- 生産者情報として、養蜂場の名前や所在地が明記されているか。
- 採取地として、どこで採取されたはちみつか。
- 蜜源として、何の花から採取されたか。
- 非加熱の表記として、「非加熱」「生はちみつ」などの記載があるか。
- 製造方法として、製法について説明があるか。
信頼できる養蜂場から直接購入するのが最も確実です。道の駅やファーマーズマーケット、養蜂場のオンラインショップなどで、生産者の顔が見える製品を選ぶのもおすすめです。
価格も参考に
本物の純粋はちみつ、特に非加熱のものは手間がかかるため、極端に安い価格では提供できません。
国産の純粋はちみつの相場は以下のとおりです。
- 一般的な純粋はちみつは、100g あたり 500 円から 1,000 円程度。
- 非加熱・単花蜜は、100g あたり 1,000 円から 2,000 円程度。
- 希少な蜜源のものは、100g あたり 2,000 円以上。
100g あたり 200 円から 300 円程度の非常に安価なはちみつは、輸入品で加熱処理されていたり、糖類が添加されていたりする可能性が高いです。
はちみつの健康効果
純粋はちみつには様々な健康効果があるとされています。
抗菌・殺菌作用については、はちみつには天然の抗菌成分が含まれており、傷口に塗ると治癒を促進するという研究結果があります。古代から民間療法として使われてきました。特にマヌカはちみつは強い抗菌力で知られています。
喉のケア・咳の緩和については、はちみつは喉の炎症を和らげ、咳を抑える効果があるとされています。風邪のときにはちみつレモンを飲む習慣は理にかなっています。研究では、市販の咳止めシロップと同等かそれ以上の効果があるという報告もあります。
疲労回復については、はちみつに含まれるブドウ糖と果糖は、吸収が早くエネルギーに変わりやすいため、疲労回復に効果的です。スポーツ後の栄養補給にも適しています。
整腸作用については、はちみつに含まれるオリゴ糖は、腸内の善玉菌(ビフィズス菌など)のエサになり、腸内環境を整える効果があります。
抗酸化作用については、はちみつにはポリフェノールやフラボノイドなどの抗酸化物質が含まれており、体内の活性酸素を除去する働きがあります。
その他にも、二日酔いの軽減(果糖がアルコール分解を促進)、保湿効果(肌や髪のケアに使用可能)、口内炎の改善などの効果があります。
ただし、これらの効果は純粋なはちみつ、特に非加熱のものでより期待できます。加熱処理されたはちみつでは、酵素が失活しているため効果が減少している可能性があります。
はちみつの正しい使い方
はちみつの栄養を最大限に活かすための使い方を紹介します。
温度に注意することが大切です。はちみつに含まれる酵素は熱に弱いため、40 度以上の高温に加熱すると失活してしまいます。紅茶やコーヒーに入れる場合は、少し冷ましてから加えるとよいでしょう。
調理に使う場合は、酵素の効果は期待できませんが、甘味料としては優れています。砂糖の代わりにはちみつを使うと、コクのある仕上がりになります。砂糖の約 3 分の 1 から 2 分の 1 の量で同程度の甘さになります。
金属のスプーンを避けることも推奨されています。はちみつをすくうときは、木製やプラスチック製、陶器製のスプーンを使うことをおすすめします。金属製のスプーンは、はちみつの成分と反応して風味を損なう可能性があるとされています。ただし、短時間であれば問題ないという意見もあります。
はちみつの保存方法
はちみつを正しく保存して、品質を長く保ちましょう。
基本の保存方法として、直射日光を避けること、常温で保存すること(冷暗所が理想)、清潔なスプーンを使うこと、使用後はしっかり蓋を閉めることが挙げられます。
冷蔵庫に入れないことも重要です。はちみつを冷蔵庫に入れると、結晶化が促進されて使いにくくなります。常温保存で問題ありません。
賞味期限については、純粋なはちみつは、その高い糖度と抗菌性により、適切に保存すれば非常に長期間品質を保てます。市販品には賞味期限が記載されていますが、これは法律上の義務によるもので、実際にはそれを過ぎても品質は保たれていることが多いです。
ただし、一度開封した後は、なるべく早めに使い切ることをおすすめします。
注意点
はちみつを安全に楽しむために、以下の点に注意してください。
1 歳未満の乳児には与えないでください。これは非常に重要な注意点です。はちみつにはボツリヌス菌の芽胞が含まれている可能性があり、1 歳未満の乳児が摂取すると「乳児ボツリヌス症」を発症するリスクがあります。
乳児の腸内環境は未発達で、ボツリヌス菌が腸内で増殖して毒素を産生する可能性があります。症状としては、便秘、ほ乳力の低下、元気がない、泣き声が弱いなどがあり、重症化すると命に関わることもあります。
2017 年には国内で乳児ボツリヌス症による死亡事例も発生しています。はちみつを加熱しても芽胞は死滅しないため、1 歳未満の乳児には絶対に与えないでください。これは祖父母など周囲の方にも伝えておくことが大切です。
1 歳を過ぎると腸内環境が整い、ボツリヌス菌が増殖しにくくなるため、はちみつを与えても問題ありません。
糖質の摂りすぎにも注意が必要です。はちみつは健康に良いイメージがありますが、約 80%は糖質(ブドウ糖と果糖)です。カロリーは砂糖とほぼ同等で、100g あたり約 300kcal あります。
健康効果があるとはいえ、摂りすぎは血糖値の上昇や体重増加につながります。1 日の摂取量は大さじ 1 杯から 2 杯程度(20g から 40g)を目安にするとよいでしょう。
アレルギーについても知っておきましょう。まれにはちみつでアレルギー反応を起こす人がいます。特に花粉症の方は、蜜源となった花の花粉に反応する可能性があります。初めて食べるはちみつは少量から試すことをおすすめします。
おすすめのはちみつの楽しみ方
はちみつの美味しい食べ方をいくつか紹介します。
朝食では、トーストにバターとはちみつをかける食べ方がおすすめです。ヨーグルトにはちみつとフルーツを添えても美味しいです。パンケーキやワッフルにかけたり、グラノーラにひとかけしたりする食べ方も人気があります。
飲み物では、はちみつレモン(ぬるま湯または水で)、紅茶に入れて(少し冷ましてから)、スムージーの甘味として使うのがおすすめです。
料理では、肉料理の照り焼きソースやドレッシングの材料として使えます。煮物の甘みづけやお菓子作り(砂糖の代わり)にも活用できます。
そのまま味わうのもおすすめです。高品質な純粋はちみつは、そのままスプーンですくって味わうのもよいでしょう。花の種類による風味の違いを楽しんでください。
おわりに
以前、父が養蜂箱から絞ってくれた天然のはちみつを食べたことがありますが、市販品とは比べものにならないほど豊かな風味がありました。濃厚な甘さの中に花の香りが広がり、体に染み渡るような癒しがありました。
本物のはちみつを選ぶポイントは以下のとおりです。
- 「純粋」「Pure」の表示を確認する。
- できれば「非加熱」のものを選ぶ。
- 生産者や産地の情報が明記されているものを選ぶ。
- 極端に安いものは避ける。
- 信頼できる販売元から購入する。
花の種類や産地によって味、香り、色が異なるのもはちみつの魅力です。レンゲ、アカシア、そば、マヌカなど、様々な種類を試して、自分好みのはちみつを見つけてみてください。
毎日の食卓に本物のはちみつを取り入れて、その自然の恵みを楽しんでいただければ幸いです。