2017 年に iTunes 12.7 から iOS アプリの管理機能が削除されて以来、ipa ファイルを iOS デバイスにインストールする方法が変わりました。かつては iTunes に ipa ファイルをドラッグ&ドロップするだけで簡単にインストールできましたが、現在はその機能が使えません。本記事では、2025 年現在で利用可能な方法を詳しく紹介します。
ipaファイルとは
ipa ファイル(iOS App Store Package)は、iOS アプリのインストールパッケージです。拡張子は「.ipa」で、実態は ZIP 形式のアーカイブファイルです。中にはアプリのバイナリ、リソースファイル、署名情報などが含まれています。
ipa ファイルは主に以下のような場面で使用されます。
- AdHoc ビルドとして、開発者が限定されたデバイスにテスト用アプリを配布する際に使用。
- Enterprise 配布として、企業内で社内アプリを配布する際に使用。
- 開発中のアプリのテストとして、TestFlight を使わずにテスターへ配布する際に使用。
- アプリのバックアップとして、過去バージョンのアプリを保存しておく際に使用。
App Store からダウンロードしたアプリは、デバイスに直接インストールされるため、通常 ipa ファイルを意識することはありません。
インストール前の準備
ipa ファイルをインストールする前に、以下の点を確認してください。
署名の確認として、ipa ファイルは適切に署名されている必要があります。署名されていない ipa ファイルや、署名が期限切れの ipa ファイルはインストールできません。AdHoc ビルドの場合、インストール対象のデバイスの UDID がプロビジョニングプロファイルに登録されている必要があります。
デバイスの信頼設定として、初めて Mac や PC に iOS デバイスを接続する場合、デバイス側で「このコンピュータを信頼しますか?」というダイアログが表示されます。「信頼」をタップしてください。これを行わないと、ツールからデバイスを認識できません。
iOS バージョンの確認として、ipa ファイルがサポートする iOS バージョンを確認してください。古い ipa ファイルは最新の iOS で動作しない場合があり、逆に新しい ipa ファイルは古い iOS にインストールできない場合があります。
インストール方法
Apple Configurator 2(Mac・無料)
Apple が提供する公式ツールで、無料で利用できます。本来は企業や教育機関が大量のデバイスを管理するためのツールですが、ipa ファイルをインストールするだけであれば、これが最もシンプルな方法です。
インストール手順は以下のとおりです。
- Mac App Store から Apple Configurator 2 をインストール。
- Apple Configurator 2 を起動し、Apple ID でサインイン。
- iOS デバイスを USB ケーブルで Mac に接続。
- デバイスが認識されると、ウィンドウにデバイスのアイコンが表示される。
- デバイスをクリックして選択。
- メニューバーから「追加」を開き「App」を選択。
- 「マイ Mac から選択」をクリックし、ipa ファイルを選択。
- 「追加」をクリックしてインストール開始。
注意点として、初回起動時に Apple ID でのサインインが必要です。デバイスが「監視対象」になる場合があるので、個人デバイスでは注意が必要です。複数のデバイスへの同時インストールにも対応しています。
Xcodeを使う方法(Mac・無料)
開発者であれば、Xcode から直接インストールできます。開発環境がすでに整っている場合は、追加のツールをインストールする必要がないため便利です。
インストール手順は以下のとおりです。
- Xcode を起動。
- メニューから「Window」を開き「Devices and Simulators」を選択。
- 左側のリストから接続したデバイスを選択。
- 右側のパネルで「Installed Apps」セクションを確認。
- 「+」ボタンをクリック。
- ipa ファイルを選択して「Open」をクリック。
- インストールが完了するまで待つ。
Xcode のメリットとして、開発者には馴染みのある画面構成であることと、インストール中のログを確認できることが挙げられます。エラー発生時には詳細な情報を得られ、デバイスのコンソールログも確認できます。
注意点として、Xcode は容量が大きい(20GB 以上)ため、ipa インストールだけの目的なら非効率です。Apple Developer Program への登録について、必須ではないものの機能の制限される場合があります。
iMazing(Mac、Windows・有料)
Windows 環境でも利用でき、iOS デバイスの総合管理ツールとして人気があります。直感的な画面構成で、初心者でも使いやすいのが特徴です。
- 公式サイト: https://imazing.com/ja
- 価格: 個人ライセンスで約 5,000 円から(買い切り)
- 無料トライアルあり(機能制限付き)
- 日本語に完全対応
主な機能として、ipa ファイルのインストールやアプリのバックアップとリストアがあります。写真・音楽・メッセージなどのデータ管理や、アプリのダウングレード(過去バージョンへの復元)にも対応しています。
インストール手順は以下のとおりです。
- iMazing をダウンロードしてインストール。
- iMazing を起動。
- iOS デバイスを USB ケーブルで PC に接続。
- 左サイドバーからデバイスを選択。
- 「アプリを管理」をクリック。
- 画面に ipa ファイルをドラッグ&ドロップ、または「インストール」ボタンから ipa を選択。
- インストール完了を待つ。
Wi-Fi 経由での接続も可能です。iMazing は Wi-Fi 経由でもデバイスに接続できます。一度 USB で接続してペアリングを行えば、以後は Wi-Fi での接続が可能になります。ケーブルを探す手間が省けて便利です。
インストール後の設定
開発者を信頼する設定を求められる場合があります。AdHoc ビルドや Enterprise 配布のアプリをインストールした場合、初回起動時に「信頼されていないエンタープライズデベロッパ」というエラーの表示されることがあります。
この場合、以下の手順で開発者を信頼する設定をしてください。
- 「設定」アプリを開く。
- 「一般」から「VPN とデバイス管理」を選択。
- 「デベロッパ App」セクションで該当する開発者を選択。
- 「(開発者名)を信頼」をタップ。
- 確認ダイアログで「信頼」をタップ。
これでアプリが起動できるようになります。
よくあるトラブルと対処法
「プロビジョニングプロファイルが見つかりません」というエラーが出る場合は、ipa ファイルの署名が無効か、デバイスの UDID がプロファイルに含まれていません。開発者に連絡して、正しく署名された ipa ファイルを入手してください。
「この App は検証できないため開けません」というエラーが出る場合は、開発者の証明書が失効しているか、Apple に取り消された可能性があります。開発者に連絡するか、別の配布方法(TestFlight など)を検討してください。
インストールが途中で止まる場合は、デバイスの空き容量が不足している可能性があります。不要なアプリやデータを削除して、空き容量を確保してください。
デバイスが認識されない場合は、USB ケーブルが正しく接続されているか確認してください。別の USB ポートを試し、デバイスで「このコンピュータを信頼」を選択したか確認してください。それでも解決しない場合はツールを再起動してください。
おわりに
iTunes 経由での ipa インストールができなくなってから数年が経ちましたが、現在は上記のような代替手段が確立されています。
Mac ユーザーで無料ツールを使いたい場合は Apple Configurator 2 がおすすめです。開発者の場合は Xcode がおすすめです。Windows ユーザーや多機能なツールが必要な場合は iMazing がおすすめです。
どの方法を選んでも、基本的な流れは「ツールを起動」「デバイスを接続」「ipa ファイルを選択」「インストール」です。用途や環境に応じて最適なツールを選択してください。
なお、App Store 以外からのアプリインストールにはセキュリティリスクが伴います。信頼できるソースから入手した ipa ファイルのみをインストールするようにしてください。